アンジェリーナ・ジョリーのタトゥーで有名になったサクヤン。神秘的で魅力的なタトゥーですが、その人気と相まって偽物のサクヤンが彫られています。
サクヤンは彫る技術はもとより、タイの仏教知識やデザインの意味、儀式、カタと呼ばれる呪文を習得しなければ彫れるものではないのです。
しかしながら、インターネット等でデザインが出回っているので、彫り師はそれらをコピーして偽物のサクヤンを彫っています。それはデザインを似せただけのファッションタトゥーであって、サクヤンではありません。写真やイラストを真似たあくまでも偽物です。
あまり書きたくはありませんが、アチャーン・リョウ、いやサクヤンに携わるものとして看破できない問題なので注意喚起も兼ねて紹介する次第です。
最近特に多いお問い合わせが、偽サクヤンを彫られたというご相談。サクヤンが彫れるからというので行ってみたら、文字や細部がいい加減でカタや説明すらなかったということです。
こういうお問い合わせを受けるにつれて悲しくなります。
本物だと思ったのに騙された…
タイで彫ったものはお寺やアチャーンの特徴がわかるので大体特定できますが、日本で彫られたものは残念ながら100%といっていいほど偽物です。これはサクヤンを学んだ者としての自信があるから偽物と言い切れます。
コルレオーネのWEBサイトやブログのカバーに、”日本で唯一本物のサクヤンが彫れるタトゥースタジオ”と書いていますが、今現在、日本でサクヤンを彫れる人は私以外に存在しません。
私は2003年、タイで初めてサクヤンに触れて興味を持ち、そこからサクヤンマスターと呼ばれるアチャーン・バンプーの元でサクヤンを習得しました。その間短期滞在も含め50回以上も訪問しサクヤンを修行、アチャーン・リョウとしてようやく彫れるようになったのです。
2012年、ボルネオで2ndトラディショナルタトゥーエキスポでは、タイのタトゥーアーティスト、ジミー・ウォンファミリーの一員としてサクヤンマスターとして参加しました。その際、日本で唯一のサクヤンマスターとして、ドイツの雑誌、タトゥーアーにも紹介もされています。もしタイで修行した、彫れるという方がいたら、ぜひ反論していただければと思います。
サクヤンを真似することはできても、本物を彫る彫り師は日本にはいません。
もちろん彫る側、彫られる側の双方が、サクヤン風、あるいはファッションタトゥーという認識で合意していれば全く問題ないのですが、サクヤンだといって彫ることは詐欺行為ですからね。当たり前のことですが、良心的なタトゥースタジオさんは説明にサクヤン風と書いて下さっています。
しかし、実際はそうでない彫り師も多い。願いが叶うと騙ったり、勝手に意味を持たせて彫っているようです。今も昔も願いが叶うからと気軽に彫れるものではありません。サクヤンはそんなエセスピリチュアルなものではないのです。
実際、サクヤンを画像検索すると多くのデザインを手に入れることができます。彫り師はデザインの写真やイラストがあれば、簡単に似たようなものを彫ることができますから、騙されないようにしてください。これはタイでも、タイ人アーティストでも同じことが言えます。一生消えないものだから、タトゥースタジオには騙さないようにお願いしたいし、お客様にも騙されないよう注意してもらいたいです。
また偽物を彫っても彫られても、悪いことが起こるという呪い(ブラックマジック)が降りかかりますから、なおさら注意が必要です。サクヤンはタトゥーであって、タトゥーではないのです。なぜなら、サクヤンを学んでいないものが、ヤント(サクヤンデデザイン)を彫ること、そして真似して書くこと自体許されていないのです。
サクヤンの本質はカタ(サクヤンに命を吹き込む呪文とブレッシング)にあります。サクヤンのデザインを彫ってもカタがなければただのタトゥーです。カタを習得するまでに最低でも6、7年かかると言われています。にわかにできるものではありません。ただ彫るというのではなく、さまざまな修行を重ねて彫れようになるのです。
ではサクヤンの真偽を見分けるにはどうしたらいいのか? それは以下の方法で本物かどうか見分けられるので、彫る前に尋ねてみることです(タイでも、タイ人アーティストでも同様)。これは学んだことがない者にはわからないので、質問に答えられないでしょう。
・カサコームとはなにか尋ねてください。
・カタが唱えられるかどうか。
・古代クメール語の読み書きができるかどうか。
・デザインによって彫る順番、彫れる場所が決まっていることがあるので尋ねてください。
・デザインの意味、アカラーには何が書いてるのか尋ねて下さい
・ヨォートには独特の構成要素があるので尋ねて下さい
・サクヤンを書くには、ある手順が必要になります。それを尋ねて下さい
・ブレッシングの方法を尋ねて下さい
この他にも見分け方は多々ありますが、サクヤンをマスターしていればすぐに答えられるものです。これは彫る前に必ず尋ねてくださいね。怪しければコルレオーネまでご連絡頂ければと思います。
また彫ったあとの写真を送ってもらったり、彫るときの様子を教えて頂ければ偽物かどうか鑑定したしますので、お気軽にご連絡ください。
以上、偽サクヤンを彫られないための注意喚起でした。
※サクヤン用語に関しては、コルレオーネ独自にタイ語を翻訳・わかりやすいように名前をつけています。正式な名称ではありませんので、これらのサクヤン用語を使っているWEBサイトやブログは、当サイトから盗用していると思われますのでご注意ください。